最近はだいぶ縮まった気がするが、それでもバンコクとその他の地域の経済格差、購買力の違いはかなり大きい。同じ仕事をしても、バンコクと特に農村とでは収入額がかなり異なる。
そんなタイ東北部の農村で生まれ育ち、今も暮らすエムさんは、20代はじめに少しだけバンコクに住んでいた経験だけを頼りに、夫とまだ小学生の娘を連れてやってきて、とりあえず屋台を始めてみたのだが…。
バンコクに出てくるまでの経緯
ムさんはバンコクには20代に1年ほどいたかいないか、という程度の経験だけで、そのまえもそのあともタイ東北部のナコンラチャシマー県の農村で暮らしていた。
バンコクにいる間は雇われていたものの、田舎では基本的に自営業で生計を立てていた。
最近こそ飲食を中心にしているものの、それ以前は衣料販売をしていた。
タイではよくある手法だが、店に行き服を買いつけ、それを自分の店で売るのだ。
バンコクだとプラトゥーナーム市場とその周辺にそういった店があって安く買える。
要するに、一般客は一着ずつ買うのに対し、一般客に混じって数着買ってちょっと値引いてもらい、自分の店で売るわけで、日本の転売を生業にしている人に少し似ている。
服は仕入れに金がかかるし、センスがものをいう。
昨今のタイではオンライン販売が主流で、主にTikTokでそれなりのフォロワーがいないと成り立たないのだとか。
それであれば対面でできる、あるいはアプリでデリバリーも受けられる飲食がいいと、業種をがらりと変えたのだ。
向こうではピザなどを売った。農村だとピザがどこにもないので、売れる日は売れるのだとか。
とはいえ、継続的に買ってくれるかというと、収入レベル的に困難。難しいものである。
そこで、バンコクに来るしかないということで、ラムカムヘンという大学もある下町エリアに家族で引っ越した。
母は強いという印象
そうして、ラムカムヘンの競技場の広場で毎日開催される屋台街に参加する。
しかし、こういうところは月単位、年単位では簡単に契約できないのだそうだ。
簡単にいえば賃料が高い。
そのため、エムさんは週ごとの契約で始めた。
様子見もあったのでとりあえずはそれでよく、取材時は2日目ということでまだまだいけそうな感じではあった。
しかし、なんのアテもないままでやってくるというのは、豪快というか、生活力があるというか。母は強いのかもしれない。
筆者とエムさんはもうかれこれ20年も知っている仲である。
彼女が中学生くらいから知っているので、なお子どもができてから強くなったという印象が強い。
かつては話しかけても無反応というか声が小さかったが、動画を観ていただいたらわかるように、ハキハキと普通に話す。
タイ人男性はあまり働かないなどといわれるが、必ずしも正解ではないにしても、まったくの事実無根でもない。エムさんの夫も徴兵経験がありつつ、その後はのんきな生活をしている。
そうなるとエムさん自身がしっかりしないといけなくなり、バンコク行きの決断もエムさんがひとりで下したわけである。
スクムビットの古いコンドと共通点があった

エムさん家族の住まいは、実に古いアパートだ。
とはいえ、複数の棟がある団地のような感じで、階下には飲食店やランドリーなどがあり、便利ではある。
そのため、居住者の数はかなり多く、空きはそう簡単には出ないらしい。
一方で、スタジオタイプの昔ながらの部屋ではあるものの、天井が高く、思った以上に広い。
エムさんの場合は3人暮らしだったが十分だし、ひとりかカップルでの生活だったらなお好ましい広さだと思った。
この点は実はスクムビット通りにある、ディアライフが取り扱う物件の中でもやや古め、たとえば90年代に建てられた物件でも感じることだと思った。
古い物件はそのヴィンテージ具合から落ち着く空気感があり、また造りが大きい。
単純にいえば部屋が広い物件が多いのだ。
天井も高く、壁も厚いので静かだったりもする。
さすがに安アパートの場合は柱は細いし、壁もそれほど厚くはないにしても、落ち着ける雰囲気や広さは共通していると思った。
ディアライフが扱う古い系であれば、サービスアパートだとなおいい。
サービスアパートは分譲コンドミニアムと異なり、建物ごと個人か管理会社が所有しているので、なにかトラブルが起きたときの迅速な対応とか、部屋の掃除などを頼めるなど、快適な暮らしができる。
まあ、そんな安アパートはほとんどなく、基本的には今は高額の物件になるけれども。
安アパートで部屋の掃除や洗濯をしてくれるところがないわけでないのだが、天然記念物並みに今は少なくなったのかと思う。
新しい物件が必ずしもいいわけではない
バンコクは不動産投資ブームが2010年を過ぎてから起こって、とにかく高層コンドが乱立している。
ディアライフでもそういった物件を多数扱っているのだが、実は古いアパートもいい。
先述のように古いと重厚感があるのは、それは雰囲気だけではなくて、実際に造りが頑丈ということがある。
タイは年中陽射しが強いので、壁などの劣化などが早い。
少なくともバンコクは地盤がゆるく、地盤沈下も普通に発生する。
その上、今乱立するコンドは居住者数を多く取るために部屋が狭いし、壁も薄め。
というわけで、よほど新しいものではなければイヤだという人以外は、古い物件も視野に入れるべき。ディアライフならそういう物件も多数網羅しているので、ぜひ相談してみてほしい。