海外の不動産を持っていると、大きな節税効果があるというメリットがあり、一時期海外不動産投資が大きく注目されていました。
しかし、2020年の税制改革から、海外不動産による節税効果はかなり限定されるものとなり、2024年現在は法人での不動産所有のみ利用できます。
この記事では、これまでの海外不動産による節税効果と現状などについて解説します。
「海外不動産投資に興味がある」という方は、ぜひ最後までチェックしてください。
これまでの海外不動産の節税効果とは
これまでの海外不動産投資に対する節税対策は「減価償却」と呼ばれる方法を活用して行われていました。
ここでは、従来の海外不動産投資の節税の仕組みについて解説します。
海外不動産投資で活用されていた減価償却とは
かつての海外不動産投資では、減価償却費で節税を行っていました。
【減価償却とは】
固定資産(海外不動産投資の場合は建物)の購入費用を耐用年数で分割して経費計上できる仕組み
海外不動産投資では耐用年数の長い不動産を減価償却費として計上することで、節税の効果が大きくなるという制度です。
税制改正により、個人での減価償却は利用不可に
上記の内容は2020年に税制改正され、海外の物件に対して制限が加えられました。
改正された内容としては、2021年度以降の確定申告から、海外不動産の減価償却費計上を用いた赤字申告はできないというものです。
しかし、改正された内容は個人における所得税の損益通算に関わるものであるため、法人名義で所有している不動産には引き続き適用されます。
海外不動産投資の節税以外のメリットとは
税制改正によって海外不動産投資は意味がなくなったと思われがちですが、海外不動産投資にもメリットは存在します。
法人での不動産投資は、従来通り節税が可能となっており、海外不動産を所有することで資産の分散にも繋がります。
ここでは、海外不動産投資の節税を法人として行った際の解説と、海外不動産投資のメリットについて解説します。
法人での不動産投資は引き続き節税可能
税制改正の内容は、個人が所有している海外不動産に対しての内容になっているため、法人名義で海外に不動産を所有している場合は従来通りの節税が可能です。
ただし、法人で減価償却を計上することはあくまでも法人税の繰延になるということを理解する必要があります。
物件を売却する場合は、購入時よりも低い金額などで売却しない限りキャピタルゲインが発生します。
法人は、物件を保有している期間によって譲渡所得税率が下がる個人とは違い、一律に法人税率が適用されてしまうため、長期的に物件を保有していても税率が下がることはありません。
物件を保有している間は減価償却を利用して法人税の負担を減らすことができても、物件を売却する際は一律の税金を支払う必要があるので注意しましょう。
海外不動産を所有するメリットとは
いくつかの注意点やリスクはあるものの、海外不動産に投資をするメリットは存在します。
【海外不動産投資のメリット】
- 資産を分散できる
- 日本よりも高い利回りを狙える
まず、投資は一カ所に依存せずに複数の投資先に分散することで損失のリスクを少なくすることができます。
投資先を国外に広げることも、資産を守るための大切な考え方です。
また、地域によっては日本より高い利回りで不動産投資の利益を得られる可能性もあります。
海外不動産投資で注目されている国は?
海外不動産投資は、投資する地域によってメリットやデメリットが異なります。
アメリカをはじめとした主要先進国は変わらず高い人気がありますが、投資家の競争率が激しく、物件の購入価格も高額であるという点もあります。
そんな中で、今注目されているのがタイなどを始めとした新興国です。
人口が増加し、経済も急成長している新興国では不動産の需要も高まっており、特に日本人が多く住むタイは投資の際のコミュニケーションが取りやすいなどの利点もあります。
ここでは、海外不動産投資で注目されている国について詳しく解説します。
先進国のメリットとデメリット
先述したように、アメリカを始めとした先進国は不動産投資のなかでも人気です。
従来の減価償却を利用した不動産投資において、特に中古物件の価値が下がりにくい文化であるアメリカは投資に多く利用されていました。
税制改正後もアメリカへ投資を続けている方は少なくありませんが、物件価格が高いためインカムゲインでの高い収益は期待しづらいという側面があります。
また、固定資産税をはじめとした維持費も高額な傾向があります。
【アメリカへの不動産投資のメリット】
- 国外の不動産規制がほぼ無い
- 中古物件の市場が成熟しており、築年数で物件の価値が下落することが少ない
【アメリカへの不動産投資のデメリット】
- まとまった自己資金は必須
- 物件価格、維持費が高額
- 高い利回りは狙いにくい
新興国のメリットとデメリット
新興国とは、国際社会において政治や外交、経済などの分野において急速に発展している国のことで、主に中国やインド、タイなどを始めとした東南アジア諸国、東欧、ロシアなどをさします。
特に、「東洋のデトロイト」と呼ばれているタイでは、海外メーカーの資本投下や駐在員派遣などに伴って不動産マーケットは急速に伸び続けています。
日本人駐在員もASEAN最多とも言われていること、中間層に富んでいるため住宅への需要も安定していることが大きなメリットといえます。
デメリットとしては、国際的な衝突や経済成長の停止のリスクなどがあげられます。
【タイへの不動産投資のメリット】
- 日本人駐在員が多く、日本人向けに賃貸を貸し出しやすい
- 住宅需要が安定している
- コンドミニアムを国外からでも購入しやすい
【タイへの不動産投資のデメリット】
- カントリーリスクがある
- 現地の金融機関の融資はハードルが高い
海外不動産投資を成功させるポイント
海外不動産に興味を持っていても、国ごとにメリットやデメリットがあるため、節税や収入などにどれくらい貢献できるかは様々です。
海外不動産投資を始める上で大切なことは、投資先の国や投資する物件について慎重に選んでいくことです。
ここでは、海外不動産を成功させるために重要なポイントについて解説します。
投資の目的を明確にする
これまで既に投資を経験している方にとっては当たり前に思われるかもしれませんが、新しい投資に初めて挑戦する際には、投資の目的を明確にしておくことが大切です。
節税が目的の場合や、インカムゲイン・キャピタルゲインでの収益を狙っているなど、投資の目的によって不動産の運用方法は変化していきます。
長期的な運用が多くなる不動産投資は、目先の利益だけを考えるのではなく目的に合わせて投資する不動産を冷静に見極めるようにしましょう。
日本人スタッフがいる不動産会社に相談する
地域にもよりますが、海外不動産は日本の不動産会社から購入することも可能です。
現地に日本の不動産会社がある場合は積極的に相談するようにしましょう。
特に、海外の文化や需要、税制などの情報は日本にいるだけではなかなか全てを知ることは難しいものです。
しかし、現地の情報を理解している日本人スタッフが在籍する会社であれば、投資の中で起こりうるトラブルを未然に防ぐことができます。
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海外不動産投資で節税するには|まとめ
2020年に税制改正が行われ、海外不動産投資で節税が可能なのは法人で所有している物件のみとなっています。
節税については大きな制限ができてしまった海外不動産投資ですが、その他のメリットや利益を求めて投資を続けている方は多くいらっしゃいます。
個人で海外不動産投資を行う場合は、インカムゲインやキャピタルゲインなどの本質的な不動産投資の利益を狙って運用することが重要です。
そのため、投資先となる国や地域の需要や制度をよく知る必要があります。
もちろん自身で情報収集することは大切ですが、個人での情報収集に限界があるような分野ついては海外の不動産投資会社に相談しながら、リスクを抑えて運用するようにしましょう。