タイへの移住や駐在が決まったとき、最初に直面するのが住居探しです。日本とは異なる賃貸システムや契約慣習に戸惑う方も多いのではないでしょうか。特に契約条件や初期費用、物件の種類など、知らないと思わぬトラブルに巻き込まれることもあります。
この記事では、タイで賃貸物件を借りる際の基本的な方法から契約時の注意点、日本との違いまで詳しく解説します。安心してタイ生活をスタートさせるための知識を身につけましょう。
タイにおける賃貸物件の基本的な借り方

タイでの賃貸物件探しは、日本と比べてプロセスがシンプルです。物件の種類や探し方について理解しておくと、スムーズに住まい探しを進められます。
タイの賃貸物件の種類
タイの賃貸住宅は主に3つのタイプに分かれています。それぞれの特徴を把握して、自分のライフスタイルに合った物件を選びましょう。
コンドミニアム
日本の分譲マンションに相当し、プールやジムなどの共用施設が充実しています。部屋ごとにオーナーが異なるため、同じ建物内でも設備や家賃が異なることがあります。
アパートメント
一人のオーナーまたは一法人が建物全体を所有・管理しています。管理体制がしっかりしているため、トラブル発生時の対応が迅速な傾向があります。
サービスアパートメント
家具付きで、ホテルのような清掃サービスなどが受けられる物件です。管理体制も充実していますが、その分家賃は高めになります。
タイの物件は基本的に家具・家電付きが多いため、スーツケース一つで入居できるのが大きな特徴です。物件選びの際は、自分のライフスタイルや予算に合わせて種類を選ぶとよいでしょう。
賃貸物件の探し方

タイで賃貸物件を探す方法はいくつかあります。それぞれのメリットを理解して、自分に合った探し方を選びましょう。
1. 日系不動産業者に依頼する
希望条件を伝えると候補物件を紹介してくれます。内覧や借り方、契約手続きのサポートも受けられ、日本語でのやり取りが可能なのが大きな安心材料です。
2. 現地の不動産業者を利用する
英語での対応が基本となりますが、幅広い物件情報を持っていることが多いです。「Bangkok rental real estate」などで検索して見つけることができます。
3. 自分で直接探す
コンドミニアムの管理事務所に直接問い合わせたり、街を歩いて気になる物件を見つけたりする借り方です。オーナーと直接交渉できるため、費用を抑えられる可能性があります。
いずれの方法でも、バンコクでは入居の約1ヶ月前から物件探しを始めるのが一般的です。特に初めてタイに住む場合は、日系不動産業者を利用すると言葉の壁や文化の違いによるトラブルを避けやすくなります。
タイと日本での賃貸契約における借り方の違い

タイと日本では賃貸契約の仕組みに大きな違いがあります。これらの違いを理解しておくことで、予想外の出費や混乱を避けることができます。
契約に必要な書類と初期費用
タイでの賃貸契約は日本と比べて非常にシンプルです。必要な書類や初期費用について見ていきましょう。
必要書類:
パスポートのみ(日本のような保証人や収入証明は不要)
初期費用:
- 前払い家賃:1ヶ月分
- デポジット(保証金):2ヶ月分
- 合計:家賃3ヶ月分が一般的
例えば月額3万バーツの物件の場合、初期費用は9万バーツ(約36万円)となります。日本の賃貸契約では敷金・礼金・仲介手数料・保証会社費用など多くの初期費用がかかりますが、タイではシンプルな構成になっています。
パスポートさえあれば誰でも部屋を借りることができるため、日本のレンタカーを借りるよりも簡単だと言われることもあります。この手軽さがタイの賃貸市場の特徴の一つです。
仲介手数料と礼金の違い
タイの賃貸契約では、日本とは異なる費用体系があります。特に仲介手数料と礼金については大きな違いがあります。
タイでは以下の特徴があります。
- 仲介手数料は基本的に借主が支払う必要がない(貸主が支払う)
- 礼金の習慣がない
- 更新料も一般的には発生しない
これは日本の賃貸契約と大きく異なる点です。日本では借主が仲介手数料(家賃の1ヶ月分程度)や礼金を支払うのが一般的ですが、タイではこれらの費用が不要なため、初期費用を抑えることができます。
ただし、物件によっては仲介手数料の下限を設けている場合があり、その場合は不足分を借主が支払うこともあります。契約前に費用の詳細を確認しておくことが重要です。
契約期間と更新条件
タイの賃貸契約は日本と比べて契約期間が短く、更新の仕組みも異なります。主な特徴は以下の通りです。
- 基本的に1年契約が標準(日本の2年契約とは異なる)
- 自動更新制は一般的でなく、契約終了の2〜3ヶ月前に更新の意思を伝える必要がある
- 更新時に家賃の値上げ交渉が行われることがある
- 2年目以降は中途解約条項が契約に含まれることが多い
注意すべき点として、タイでは契約更新時に大幅な家賃値上げを要求されることもあります。商業地域では家賃を倍にされたケースもあるため、契約前に更新時の条件についても確認しておくことが重要です。
また、1年目の契約期間中に解約する場合、デポジットから残りの期間の家賃が差し引かれることがあります。残りの期間が長いと高額になるため、契約時にこの点もチェックしておきましょう。
タイで賃貸物件を借りる際のチェックポイント

タイで快適に暮らすためには、賃貸物件の借り方について確認すべきポイントがいくつかあります。内部設備から周辺環境、契約内容まで、しっかりチェックしておきましょう。
物件内部のチェックポイント
タイの賃貸物件は家具・家電付きが一般的ですが、その状態や機能性は物件によって大きく異なります。内見時には以下の点をチェックしましょう。
- 家具・家電の有無と状態
- 水回りの状態
- 電気設備の動作確認
- インターネット環境
エアコンや給湯器などの主要設備は、実際に動作確認をすることが重要です。タイでは日本と比べて設備トラブルが多いため、入居前の確認が後々のトラブル防止につながります。
また、不要な家具がある場合は撤去可能か確認しておくとよいでしょう。撤去できない場合や、退去時に同等品を用意する必要がある場合もあるため、事前に確認しておくことが大切です。
立地と周辺環境のチェック
タイでの生活の質は、物件の立地や周辺環境に大きく左右されます。以下のポイントを確認しておきましょう。
- 交通アクセス
- 生活利便施設
- 治安
- 騒音
初めてタイに住む方は、アソーク・プロンポン・トンローなどのスクンビットエリアがおすすめです。日本人が多く住んでいるため、日系のサービスが充実しており、生活のセットアップがスムーズに進められます。
また、24時間営業のコンビニや大型スーパーが近くにあると、夜間の買い物も安心です。日本食材を購入したい場合は、フジスーパーやドンキホーテが近くにあるかも確認しておくとよいでしょう。
契約内容のチェックポイント

賃貸契約書はタイ語または英語で作成されることが一般的です。内容をしっかり理解して、後々のトラブルを防ぎましょう。
- 中途解約条件:解約時のデポジット返還条件や違約金について
- 電気・水道料金の支払い方法:直接支払いか管理費に含まれるか
- TM30の申請対応:オーナーが入国管理局への届出に対応してくれるか
- 修繕責任の所在:設備故障時の対応者と費用負担
中でも電気料金については、アパートではオーナーが公共料金にプラスアルファを上乗せして請求することがあります。契約前に電気代の単価を確認することが重要です。
また、TM30(外国人の居住報告)の手続きはオーナー側の義務ですが、この制度を理解していないオーナーも多いため、対応可能か確認しておくことが大切です。手続きを怠ると罰金が発生する可能性があります。
タイで賃貸物件を借りる際の注意点

賃貸物件の借り方に関する違いから生じる可能性のあるトラブルや注意点について理解しておくことで、快適なタイ生活を送ることができます。
電気・水道料金の仕組み
タイの公共料金の支払い方法は、物件のタイプによって異なります。それぞれの特徴を理解しておきましょう。
- アパート:毎月請求書が発行され、アパートの受付で支払います
- コンドミニアム:水道代は管理事務所、電気代は電気局からの請求書に基づいて支払います
- 支払い方法:現金またはタイの銀行口座からの振込が一般的です
注意すべき点として、振込後は必ず振込証明スリップを管理事務所にLINEやメールで送る必要があります。タイでは振込者名が表示されないため、申告しないと未払いのまま処理されることがあります。
また、コンドミニアムでのインターネット契約は、入居者とインターネット会社間で直接契約するのが一般的です。入居前に契約方法を確認し、早めに手続きを進めておくとスムーズです。
退去時の原状回復費用
タイでは日本と比べて退去時の原状回復費用が安いのが特徴です。一般的な費用相場と注意点を見ていきましょう。
- 日本と比べて原状回復費用は一般的に安い(契約家賃の10%以下が多い)
- 通常は備品の破損や紛失に対する費用のみ請求される
- 単身の場合:0〜5,000バーツ程度、家族の場合:1,000〜10,000バーツ程度が目安
ただし、コンドミニアムの場合、オーナーによっては法外な請求をされることもあるため注意が必要です。退去時には物件の状態を写真や動画で記録しておくと安心です。
また、ペットを飼育禁止の物件で無断で飼育した場合、大きな損害賠償を請求されるケースもあります。契約条件を守ることが重要です。実際に30万バーツ(約120万円)の損害賠償を請求されたケースもあります。
トラブル回避のためのコミュニケーション
タイでの賃貸生活でトラブルを避けるためには、適切なコミュニケーションが重要です。以下の点に注意しましょう。
- 契約書の内容を十分に理解する(必要に応じて翻訳を依頼)
- 物件の不具合は発見次第すぐに報告する
- 支払いは必ず領収書をもらう
家具家電の故障については、経年劣化による故障であればオーナー負担で修繕・交換対応となりますが、修理や交換には時間がかかることもあります。その間の補償は基本的に行われないため、心構えとして理解しておくことが大切です。
ただし、修理や交換に10日以上かかるような長期のケースでは、オーナーと交渉の上、賃料減額などの対応が行われることもあります。適切なコミュニケーションを心がけましょう。
タイで賃貸物件を借りる際の便利なサービスとツール

タイでの住居探しをスムーズに進めるためのサービスやツールを活用することで、理想の住まいを見つけやすくなります。
おすすめの物件情報サイト
インターネットを使って物件情報や借り方を収集することで、日本にいながらタイの物件市場を把握することができます。以下のようなサイトやツールが役立ちます。
- 日系不動産会社のウェブサイト(dearlife by RENOSYなど)
- タイの物件情報ポータルサイト
- Facebookのグループ(特にペット可物件などの特殊条件の情報収集に有効)
オンライン内見が可能な不動産会社もあるため、現地に行く前に物件の様子を確認することができます。物件情報を定期的にチェックして、希望条件に合う物件が出たらすぐに問い合わせるとよいでしょう。
また、ペット可物件など特殊な条件がある場合は、Facebookの専門グループに参加して情報収集することも効果的です。日々新しい情報がポストされるため、良い物件を見つけるチャンスが広がります。
日系不動産会社のサービス内容
タイでの住まい探しを安心して進めるためには、日系不動産会社のサービスを利用するのが効果的です。主なサービス内容は以下の通りです。
- 物件紹介から契約までのサポート
- 入居後のアフターフォロー
- 日本語での相談対応
dearlife by RENOSYでは、物件探しだけでなく、賃貸の借り方や入居後のサポートまで一貫して日本語で対応してもらえます。言葉の壁や文化の違いによるトラブルを避けたい方にとって、大きな安心材料となるでしょう。
また、タイの物件は日本と比べてトラブルが多いため、問題発生時の対応が良い不動産会社を選ぶことが重要です。信頼できる不動産会社を通じて物件を探すことで、安心してタイ生活をスタートさせることができます。
現地での生活立ち上げサポート
タイでの生活を始めるにあたり、住居以外にも様々な手続きが必要です。これらのサポートも受けられると安心です。
- 住民登録(TM30)の手続き方法
- 公共料金の支払い方法
- インターネット・携帯電話の契約方法
TM30(外国人居住報告)は、入国後24時間以内に届け出る必要があるため、オーナーや不動産会社がサポートしてくれるかどうかは重要なポイントです。
また、インターネット契約は物件によって対応会社が異なるため、契約前に確認が必要です。日系不動産会社を通じて物件を借りる場合は、これらの情報も含めてサポートしてもらえるため、スムーズに生活を始められるでしょう。
タイの賃貸相場とエリア別の特徴

タイの主要都市における賃貸相場とエリアの特徴を理解することで、自分の予算や生活スタイルに合った物件選びができます。
バンコクの賃貸相場
バンコクは地域によって賃貸相場に大きな差があります。主なエリアの特徴と相場を見ていきましょう。
- 高級エリア(スクンビット中心部など):1ベッドルーム35,000〜50,000バーツ/月
- 中間価格帯エリア(オンヌット、プラカノンなど):1ベッドルーム15,000〜25,000バーツ/月
- リーズナブルなエリア(ラマ9、ラチャダーなど):1ベッドルーム10,000〜15,000バーツ/月
日本人駐在員に人気があるのはスクンビットエリアで、BTSアソーク駅からトンロー駅周辺は日本食レストランやスーパーが充実しています。初めてタイに住む方は、生活のしやすさを優先してこれらのエリアから選ぶとよいでしょう。
また、最近ではラマ9エリアも人気が高まっています。MRTの駅に近く、大型ショッピングモールも多いため、便利な生活環境が整っています。予算を抑えたい方にもおすすめのエリアです。
チェンマイやプーケットなど地方都市の賃貸相場
バンコク以外の主要都市も、それぞれ特徴ある賃貸市場を持っています。地方都市の相場と特徴を見ていきましょう。
- チェンマイ:1ベッドルーム8,000〜15,000バーツ/月
- プーケット:1ベッドルーム10,000〜25,000バーツ/月(ビーチからの距離により変動)
- パタヤ:1ベッドルーム10,000〜20,000バーツ/月
チェンマイは物価が安く、落ち着いた生活を送りたい方に人気があります。特に長期滞在者やリタイア組に選ばれることが多いエリアです。ニマンヘミン通り周辺は外国人向けの施設が充実しており、初めての方にもおすすめです。
プーケットやパタヤなどのリゾート地では、観光シーズンとオフシーズンで家賃が変動することがあります。長期契約を結ぶ際は、年間を通した平均家賃を交渉するとよいでしょう。
地方都市では、バンコクと比べて物件の質にばらつきがあるため、必ず内見をしてから契約することをおすすめします。
タイでの賃貸物件の借り方|まとめ
タイでの賃貸物件の借り方における重要ポイントをまとめました。日本との違いを理解し、事前準備をしっかり行うことで、快適なタイ生活のスタートを切りましょう。
タイでの賃貸契約は日本と比べてシンプルで、初期費用も抑えられるのが大きな特徴です。パスポートさえあれば契約できる手軽さがある一方で、契約内容や物件の状態をしっかり確認することが重要です。電気・水道料金の仕組みや、契約期間、中途解約条件などは日本と異なる点が多いため、注意が必要です。
初めてタイに住む方は、日系不動産会社を通じて物件を探すことをおすすめします。言葉の壁や文化の違いによるトラブルを避け、安心して生活をスタートさせることができます。
dearlife by RENOSYでは、物件探しから契約手続き、入居後のサポートまで一貫して日本語で対応してもらえるため、安心してタイ生活を始められます。
タイでの住居探しは日本と異なる点が多いですが、基本的にはシンプルで借りやすい環境が整っています。この記事を参考に、あなたに合った理想の住まいを見つけてください。