タイで暮らすためには、日本文化とは異なるマナーがあると知っておくことが大切です。
日本の常識やマナーはタイ人にとって、失礼であったり不快感を与えたりするだけではなく、刑罰に問われる可能性もあります。
特に、長期間タイで暮らす場合は、居住地付近のタイ人たちと良好な関係を築くためにも、生活や宗教上におけるマナーとタブーの意味も知っておきましょう。
ここでは、日本と異なるタイのマナー・タブーについて詳しく解説します。
日常生活におけるタイのマナー
日常生活におけるタイのマナーには、以下の3つがあります。
- 挨拶には返事をする
- 人の頭を撫でない
- 人に足を向けるのはタブー
タイで生活する場合、日本では常識である行動がタイのマナーでは、不快に感じる場合があるため、注意しなければなりません。
ここからは、日常生活におけるタイのマナーと意味について解説します。
タイの生活マナー|挨拶「ワイ」には返事をする
タイのマナーには、手を合わせて挨拶をする「ワイ」があり、ワイをされた場合は必ず「ワイ」と返事をしましょう。
タイは、目上の人や年上の人を敬う風習があるため、自分から挨拶をすることが一般的です。
ただし、立場の高い方や高齢の方は、ワイの挨拶を返さないことがほとんどであり、低い身分・年下の人から挨拶されるまで待ちます。
「ワイ」の挨拶は、相手によって動作が異なるため、以下の種類・動作を参考にしてください。
- 高い身分、礼節を伴う場合:合掌した親指を眉間に付けたままワイをします。
- 年上の場合:合掌した親指を鼻に付けたままワイをします。
- 身分が低い、年下の場合:胸の前で合掌をしたままワイをします。
タイにおいて、挨拶「ワイ」は常日頃から使用する訳ではなく、親しい間柄になればワイをする必要はありません。
相手から挨拶をされたら、笑顔で「ワイ」と返事をすると良好な関係になるでしょう。
タイの生活マナー|他人が頭を撫でてはいけない
タイのマナーでは、他人が頭を撫でることはタブーであり、屈辱的・失礼な行為でもあります。
頭は「精霊が宿る最も神聖な場所」と考えられていることから、家族や恋人などの親しい間柄でなければ許されません。
特に、親しい間柄でも、保護者の許可なしに子どもの頭を撫でることは非常識・非難されるため注意しましょう。
タイの生活マナー|人に足を向けてはいけない
タイの生活マナーでは、人に足を向けたり跨いだりすることは大変失礼な行為です。
体の一番下である足の裏は「不浄な場所」として扱われているため、大きな足音を立てて歩いたり足を使って物を動かしたりしてはいけません。
また、混雑時の電車や映画館などの前を通る際に、座っている人の足を跨ぐことも無作法にあたります。
必ず手で動かしたり、座っている人へ声をかけて足を避けてもらったり、ずらしてもらったりしましょう。
他にも、「左手」も不浄な場所と考えられていることから、左手で物を渡したり握手をしたりすることも失礼な行為です。
現在は、左利きが周知されるようになり、左手の使用に対して寛容になっています。
人に足を向けないことは、大切なタイのマナーであるため、家の中でも心がけておくと咄嗟の時に足を向けないようにできます。
日本とは異なるタイのテーブルマナー
タイのテーブルマナーでは、以下4つの点が日本のテーブルマナーと大きく異なります。
- 食事前の挨拶
- カトラリーの種類
- 食器の扱い方
- 食べ方
外食時や食事会などが行われた場合に、日本のテーブルマナーで食事をすると「下品な人だ」と、タイ人に嫌悪感を示されかねません。
ここでは、日本とは異なるタイのテーブルマナーと注意点について解説します。
タイのテーブルマナー|「いただきます」は言わない
タイのテーブルマナーでは、「いただきます」「ごちそうさまでした」の挨拶を言いません。
料理の準備ができていたら、全員が揃っていなくとも着席順に食事を始めますが、近ごろの食事会では全員が揃ってから始める傾向です。
絶対に言ってはいけない、ということはありませんが「いただきます」「ごちそうさま」の挨拶に代わる言葉と意味は、以下のとおりです。
- 「ターン・ラ・ナ・クラップ」:始めるよ、ご飯だよ
- 「コップン クラップ」:ありがとう、お腹いっぱい
タイのテーブルマナーでも、挨拶が気になる方は参考にされてください。
タイのテーブルマナー|基本的にはスプーンとフォークを使用
タイのテーブルマナーでは、基本的に右手でスプーン・左手でフォークを使用して食事を行います。
日本とは異なり、箸の使用を控えることが一般的ですが、麺が出てくる食事の場合は箸が出てくるため、右手に箸・左手にスプーンもしくはレンゲの使用が可能です。
左手のフォークで食べ物を一口大の大きさにして、右手のスプーンに乗せて食べますが、決して食べ物をフォークで刺したまま食べてはいけません。
また、タイのテーブルマナーでは、ナイフを使用する習慣がないため、ステーキや固形物を切り分ける際はスプーンを使用します。
麺料理が出てきた際は、右手に持った箸で麺を掴み、スプーン・レンゲに乗せてから食べるスタイルです。
つまり、スプーンが料理を口に運ぶ役割があり、フォークや箸は手伝いをする役割を持ちます。
タイのテーブルマナー|食器は持ち上げない・口をつけてはいけない
タイのテーブルマナーでは、食器を持ち上げたり口をつけて料理を食べたりすることは、マナー違反です。
仏教国でもあるタイでは、仏教の教えから動物は人間よりも格下であるとされているため、料理の乗った器を顔に近づけることは「犬食いである」と、行儀の悪くみっともないとされています。
トムヤンクンやスープ類の料理は、最後までスプーンですくい取って食べ終えることがタイのマナーです。
また、食事中にコップを持ち上げることもマナー違反となるため、片手にカトラリーを持っている場合は、一旦置いてから必ず両手で持って飲みましょう。
タイのテーブルマナーは、日本の食器を持ってから食べる作法とは異なるため、食器を持ち上げたり口をつけて食べたりしないように気をつけることが大切です。
タイのテーブルマナー|啜ったりかじりついたりしてはいけない
タイのテーブルマナーでは、麺やスープを啜ったり肉や魚などにかじりついたりして食べることは恥ずかしく、下品な行為とされています。
先述したように、麺やスープを食べる際は、音を立てないために一度スプーンやレンゲに乗せてから一口で食べるようにしましょう。
また、タイでは食器を使用して優雅に食べることが習慣であるため、肉の塊や魚などにかじりつくような食べ方は美しくありません。
少量の料理を口に運ぶ必要があるため、フォークとスプーンで切り分けたり、手でほぐしたりして食べます。
外食時や親しくない相手と食事をするときは、啜ったりかじりついたりしないようにしましょう。
ただし、自宅で家族だけの食事では、麺を啜りハンバーガーやフライドチキンなどにかじりついて気兼ねなく食べられます。
タイでは王室のマナーを遵守する
タイで生活する際は、王室へのマナーに気をつける必要があります。
仏教国であるタイでは、国民の9割が仏教徒であり、国王はタイにおける仏教寺院の頂点とされているからです。
信心深いタイ人は、国王に対しても深い尊敬の念を持っています。
ここからは、タイの王室マナーについて詳しく解説します。
タイの王室マナー|王室には敬意を示す
タイの国では、王室へ批判や中傷を行った場合は不敬罪にあたるため、外国人であっても禁固刑の対象となります。
外で軽々しく王室への悪口を言ったり馬鹿にした行動をしたりするなどは、絶対的なタブーです。
近年ではSNSも盛んとなっているため、匿名であろうと王室への不敬な言葉を投稿して、見かけた人が通報すると逮捕されてしまいます。
実際に、王室に対する批判を書き込んだタイ人が逮捕されたニュースがあるため、十分に注意しなければなりません。
参照:タイの裁判所、王室批判した男性に禁錮50年 – BBCニュース
タイの街中には、国王の写真が多く掲載されていたり、王室の紋章が入った旗が掲げられたりしています。
王室関係の物を乱暴に扱うことも許されないため、王族が印刷されている紙幣を雑に扱うなどもしないようにしましょう。
タイでは、国王へ尊敬と敬愛を持つ人々が多いことから、同様の態度を示すことがマナーです。
タイの王室マナー|国歌・国王賛歌が流れている間は絶対に動かない
タイの国内では、公共の場で1日2回朝8時と夕方18時の時間に国歌が流れ、映画館の上映直前などに国王賛歌が流れます。
国歌や国王賛歌が流れている間は、直立不動の姿勢を保つことで、王室への敬意を表すと定められているため、できる限り同じ行動をとりましょう。
もし、直立不動の姿勢を保っていないタイ人がいた場合、逮捕されたり罰金を言い渡されたりする可能性があります。
ただし、タイへ訪れる外国人のほとんどは知らないため、逮捕される可能性は低いです。
タイで暮らすのであれば、現地の人々と同じ王室への敬意を示す意味でも、周りの様子を見て起立後に直立不動を保ちましょう。
仏教に関するタイのマナー
タイの仏教マナーは、以下の3つが挙げられます。
- 仏教と僧侶に敬意を払う
- 女性は僧侶へ近づかない
- 仏像よりも高い位置に立たない
王室マナーの次に注意が必要であり、必ず守らなければなりません。
ここからは、タイの仏教に関するマナーについて解説します。
タイの仏教マナー|仏教・僧侶に対して敬意を払う
先述したように、タイ人の9割が仏教を深く信仰しているため、仏教・僧侶に対して敬意を払う必要があります。
仏教の厳しい戒律や道徳観などの教えは、タイ人の日常生活で深く根付いており、信仰心や寺院について無関心でいると軽蔑されるでしょう。
タイの仏教マナーである敬意を払う行動として、行動に注意することが大切です。
仏像のある寺院は神聖な場所であるため、露出の多い服装や仏像の前で不適切なポーズの写真を撮る行為などは、不敬であり処罰の対象になりかねません。
各SNSやWEB上で投稿して、公開することも同様です。
また、寺院内や街中で僧侶を見かけた際は、自分から進んで挨拶を行い、敬意を払いましょう。
タイの仏教マナー|女性は仏像・僧侶に触れてはいけない
タイの仏教マナーでは、女性が仏像・僧侶に触れることは禁じられているため、接触は必ず避けましょう。
タイの僧侶が女性に触れた場合、全ての徳や教えを失うことになり、行ってきた修行が無駄となってしまうからです。
仏教観において、女性は従属的な立場になるため、容易に触れることが許されません。
話しかける際は距離を取り、お布施を渡す際も手や体に触れてしまわないように、注意が必要です。
また、僧侶は電車や地下鉄などの公共交通機関を利用することも多く、近づいたり隣の座席に座ったりすることもタブーとされています。
僧侶の家族や親族に女性がいた場合も例外はありません。
タイの仏教マナー|仏像より高い位置に立ってはいけない
タイの仏教マナーでは、仏像よりも高い位置に立つことが禁じられています。
アユタヤに位置する寺院には、「木の根に覆われた仏像の頭」であるワット・マハタートがありますが、覆われている場所は人の足元に近いです。
タイの仏教マナーにおいて、頭は精霊などの神聖なものが宿る場所であるため、信仰対象である仏像よりも高い位置に立つと、タイ人から軽蔑を受けることになります。
参拝時や写真撮影の際は、座ったり屈んだりして頭が仏像よりも高い位置にならないように、気をつけましょう。
タイのマナーは日本と違う?|まとめ
タイの国は、仏教への信仰心が深いため、多くのマナーは仏教観の教えに基づいています。
日本の常識や考えとは異なる部分も多くあることから、タイの生活で不安や戸惑いを感じる方もいるでしょう。
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