タイに移住や単身赴任をする方は、タイの社会情勢について理解しておきましょう。
2023年に首相に選出されたセター氏は、軍の影響力の排除を掲げて支持を集めてきましたが、軍に近い保守政党との大連立によって、まだまだタイでは軍部の影響が大きいと考えられます。
さらにタイでは日本とは違い、軍事力を維持するための方法として徴兵制がおこなわれていることも特徴です。
そこで、今回はタイの徴兵制について解説をします。
これからタイ現地で暮らす方も、タイの徴兵制について知っておいて損はないため、ぜひ最後までご覧ください。
タイの徴兵制について
タイでは21歳以上の男性には徴兵義務があります。
タイではタイ国籍を持つ男性が18歳の誕生日に予備兵役の登録をし、徴兵検査を21歳になる年の4月に受験することが義務です。
ですが、タイの徴兵制は21歳の男性全員ではなく、希望者と徴兵検査で身体検査に合格をして「くじ引き」の結果で兵役に就くことが決まります。
タイでは最長2年間の兵役ですが、他の国でも徴兵義務がある国があります。
タイの徴兵制はくじ引きで決まる
タイの徴兵制はくじ引きでくじが赤色だった場合は兵役に就くことが決定し、くじが黒色だった場合は兵役が免除になります。
くじ引きの結果は以下の通りです。
- 陸軍に入隊
- 海軍に入隊
- 空軍に入隊
- 兵役免除
毎年4月タイの徴兵制のくじ引きは大きな話題を生みますが、日本人にとっては2年間がくじ引きで決まってしまうことは想像しづらいです。
日本とタイではそれぞれマナーやルールも異なるため、タイ人とのコミュニケーションにおいても徴兵制については必要な知識です。
特にタイでは8時と夕方18時に国歌が流れている間は、立ち止まらないといけないルールがあり、快適に生活を過ごすうえでタイのルールは守らないといけません。
タイの兵役は最長2年
タイの兵役は最長2年になっています。
兵役を志願した場合や、大卒者は兵役が1年に短縮されるため、くじ引きでの徴兵ではなく、自ら志願をして兵役に就くタイ人も多いです。
くじ引きによる徴兵制は最長の2年間で赤紙を引くことで兵役が決定してしまうことから、「ジャップ・バイデーン」(赤紙を引く)と呼ばれています。
兵役を逃れようとすると罰則
タイの兵役の対象は21歳〜29歳になっていて、29歳までに徴兵制のくじ引きに行かない場合、3年以下の懲役が科せられてしまいます。
実際には懲役1〜3か月以内、もしくは100〜200バーツ以下の罰金が科せられるとされていますが、兵役を逃れようとすることはとても不名誉な事だと考えられています。
そのため兵役を逃れるよりも、くじ引きの徴兵制か志願する方が多いです。
これからタイの徴兵制は志願制に1本化していく
タイ国軍の担当者によれば、兵役を志願制に一本化していく方針を打ち出しています。
2024年4月14日、タイの兵役の志願者が前年3万4617人を上回り約3万8000人に達しました。
兵役の志願者が増加したことにより、将来的にくじ引きの徴兵制を廃止できる可能性があると考えられています。
志願者が増加した理由はくじ引きによる徴兵制よりも志願をすることで、兵役期間が短くなるため志願者が増加しています。
タイの兵役を免除するには?
タイの兵役は義務になっていますが、兵役が免除される場合があります。
- 持病があり身体検査で不合格な場合
- 学校で軍事訓練を受けている場合
- 公的な地位にある者からのレター提出があった場合
上記の条件を満たしている場合には、兵役が免除されます。
近年、タイの富裕層の子どもは軍事訓練を学校で済ませているケースも多くなっています。
しかし、タイで兵役を免除するには多額の費用がかかることが多いため、兵役の期間が短くなるように志願をしている方が多くなっているのも事実です。
持病があり身体検査で不合格な場合
身体検査の際に、持病や病気だけではなく、肥満や身体の欠損が確認されると不合格になり、兵役が免除されます。
身体検査では兵役ができないほどの持病や背丈などの基準があり、その基準を満たしていないなければ不合格になります。
これ以外にも身体障害や精神障害を持つ方も兵役免除の対象です。
学校で軍事訓練を受けている場合
タイの高校で軍事訓練を受けている場合、兵役が免除されます。
タイの高校の中には、授業科目として「軍事学校での演習」があり、実際に富裕層で兵役を免除したい方が履修していることが多いです。
基本的に毎週土曜日の半日、軍事演習が行われていて、軍事学校での演習の履修単位を取得すれば兵役が免除されます。
公的な地位にある者からのレター提出があった場合
タイでは公的な地位にある軍事関係者や僧侶などの公的な地位にある者からのレター提出がある場合、兵役が免除されます。
そのため、タイでは繋がりのある公的な地位にある者からレターを提出してもらい、兵役免除が免除されるケースがあります。
しかし、タイでは僧侶の方や芸能人の方も兵役に就いていることが多いため、なかなかタイで兵役を免除するのは難しいことです。
タイの徴兵制でトランスジェンダーはどうなる?
タイの徴兵制ではトランスジェンダーも兵役免除の対象です。
タイでは法律上は性別を変えることはできませんが、2024年3月27日に同性婚を認める法案が可決され、成立されれば東南アジア諸国で初めて同性婚を認める国です。
タイの徴兵制においても、性別を変えることはできませんが、身体検査の上で性転換手術済みのトランスジェンダーであることが認められると兵役が免除されます。
タイは性の多様性に対して関して、寛容な国だといえますが、国内でのトランスジェンダーに対する差別はまだまだ残っていると考えられています。
タイでは性転換手術の件数も多く、先進国と比べても手術料金が安価なため、日本だけではなく、海外からの施術希望者が殺到し、移住を希望している方も多いです。
タイの徴兵制がトランスジェンダーのきっかけ?
タイの徴兵制が免除されることがトランスジェンダーが増加したきっかけだと考えられています。
タイの徴兵制は食事などの支給は充実していますが、外出制限や親への仕送りで余裕がないまま2年間を過ごすことになってしまいます。
そのため兵役を免除するために、トランスジェンダーになることで兵役を免除される方がいるのがタイです。
タイの徴兵制はくじ引きできまる|まとめ
今回はタイの徴兵や兵役免除制度について解説をしました。
様々なケースで兵役期間が短くなったり、兵役を免除する方法がありますが、日本人からするとタイの徴兵制はとても過酷です。
今回ご紹介した兵役を免除する方法は、兵役期間を短くするものや金銭に余裕のある家庭は実践していますが、貧困層にはとても難しい方法になっています。
こうしたタイの社会情勢やこれまでの歴史を知っておくことは、タイへの移住を考えている方にとってはとても大切です。
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