タイ移住には様々なメリットがありますが、タイに移住して「失敗した」と感じる人も少なくありません。
今回は、タイ移住に多い失敗事例や、タイ移住に失敗しないために知っておきたいことをまとめて紹介します。
タイ移住のメリット
タイは日本よりも物価が安く「微笑みの国」と称されるほど温和な国民性を誇ることから、移住先として人気があります。
日本から飛行機で6時間ほどなので、往来しやすいこともメリットの1つです。
タイには日系企業も多く進出しており、日本人の移住者が多い地域に住めば日本食レストランや日系スーパーもあるなど、日本に近い暮らしを実現できます。
リタイヤメントビザも取得しやすいので、老後をタイで過ごす日本人もいるほどです。
タイ移住に多い失敗事例
タイ移住には様々なメリットがありますが、どのような失敗事例があるのでしょうか。
ここからは、タイ移住に多い失敗事例を紹介します。
環境に馴染めない
タイ移住に多い失敗事例の1つに、環境に馴染めないことが挙げられます。
タイのイメージといえば、リゾートや活気のある市場や屋台を思い浮かべる方も多いでしょう。
しかし、タイでは建設ラッシュや交通量の多さ、焼き畑や工業汚染などによる大気汚染が年々深刻化しています。
特にPM2.5による汚染は深刻で、バンコクでは洗濯物を外干しできないほどです。
また、高温多湿な日が多いタイでは、各種害虫が多いことにも気を付けなければいけません。
屋台付近の虫だけではなく、住居にもシロアリが発生しやすいので、注意が必要です。
雨季になると大量の雨が一度に降るタイでは、冠水や冠水による
これからタイに移住する方やタイで働く方はタイについての知識が欠かせません。
特に知っておきたいのはタイはアジア有数の「性の多様性に寛容な国」と言われていることです。
しかし、性に寛容と言われるタイ国内でも、LGBTに関する法的な課題や雇用問題があることは事実です。
そこで今回はタイのジェンダー観や、ジェンダーに関するタイの法律について解説します。
タイはLGBT先進国?
まず、LGBTとは主に性的マイノリティを表す言葉で、以下の言葉の頭文字が由来になっています。
- Lesbian(レズビアン:女性の同性愛者)
- Gay(ゲイ:男性の同性愛者)
- Bisexual(バイセクシュアル:両性愛者)
- Transgender(トランスジェンダー:性自認が出生時に割り当てられた性別とは異なる人)
近年ではここに『Queer/Questioning:性自認がわからない人』を足したものも含め「LGBTQ」とも呼ばれています。
「Ipsos LGBT PRIDE 2023」によると、30か国を対象に行われた同調査で、タイのLGBT人口の割合は8%となっており、世界13位という結果となりました。
LGBTのもっとも多いブラジルでは、LGBTの割合が14%ですから、タイでは比較的LGBTの割合が多いと言えるのではないでしょうか。
また、タイでは自身の性自認をカミングアウトしやすい環境であることから、タイは性的マイノリティーに寛容な「LGBT先進国」と考えられています。
タイの18種類の性別
生まれながらの生物学的な性別(セックス)とは別に、自分自身の性自認による性別を「ジェンダー」と呼びます。
なんとタイでは18種類の性別(ジェンダー)があるとされています。
18種類の性別(ジェンダー)は自身の性自認や見た目、恋愛の対象によって細かく分けられています。
以下にタイのジェンダーの名前と特徴をまとめました。
性別 | 特徴 | 性別 | 恋愛の相手 |
---|---|---|---|
男性 | 女性が好きな男性 | 男性 | 女性 |
女性 | 男性が好きな女性 | 女性 | 男性 |
トム | 男装をした女性。 女性・ディーが好き |
女性 | 女性・ディー |
ディー | 男っぽい女性。 トムが好きな女性 |
女性 | 女性・トム |
トムゲイ | 女性・トム・ディーが好きな女性 | 女性 | 女性・トム・ディー |
トムゲイキング | トムが好きな男っぽいトム | 女性 | トム |
トムゲイクィーン | トムが好きな女性っぽいトム | 女性 | トム |
トムゲイツーウェイ | トムゲイキングとトムゲイクィーンの どちらも好きなトム |
女性 | トムゲイキング・トムゲイクィーン |
ゲイクィーン | 男性が好きな女らしいゲイ | 男性 | 男性 |
ゲイキング | 男性が好きな男らしいゲイ | 男性 | 男性 |
ボート | 女性・ゲイクィーン・ ゲイキングが好きな男性 |
男性 | 女性・ゲイクィーン・ ゲイキング |
バイ | トム・レズビアン・ 男性が好きな女性 |
女性 | トム・レズビアン・男性 |
レズビアン | 女性が好きな女性 | 女性 | 女性 |
オカマ | 女性になりたい男性 | 男性 | 男性 |
アダム | トムを好きな男性 | 男性 | トム |
アンジー | トムを好きなオカマ | 男性 | トム |
チェリー | ゲイとおかまが好きな女性。 | 女性 | ゲイ・オカマ |
サムヤーン | 女性・レズ・トム・ ディーが好きな女性 |
女性 | 女性・レズ・トム・ディー |
このように多様なジェンダーが見られるタイでは、性転換(性別適合)手術も盛んです。
タイでは性転換(性別適合)手術が有名で、タイ国内からだけではなく、世界中から手術を希望している外国人が訪れています。
タイで性転換(性別適合)手術を受ける外国人が多い理由には、以下があります。
- タイのように網羅的に性転換(性別適合)を受けられる病院が少なく、自国では手術までに長い時間がかかる
- 滞在・手術費用がパッケージ化されていて安い
- LGBTに寛容で、性別適合手術の技術が高い
タイ国内のヤンヒー病院では、日本語・英語・ドイツ語など10ヵ国語での対応が可能になっており、性転換(性別適合)手術を受けたい方向けのツアーも存在しています。
タイはジェンダーに寛容なのか
タイはジェンダーに関して寛容な国だと考えられていますが、雇用問題や法律によって性別が変えられないことが課題です。
ですが、世界経済フォーラムが発表した2023年版のジェンダーギャップレポートでタイと日本を比較してみると、経済的な分野ではタイのジェンダーによる格差の少なさは23位です。対して日本は123位となっており、雇用や経済分野においても男女格差が少ない国だといえます。
ここからは、タイのLGBTについて、雇用や性別に関する法律の現状を紹介します。
タイでのLGBTの雇用は?
タイでのLGBTの雇用は、娯楽業や美容、小売業界に限られているのが実情です。
そのため、官公庁や大企業などはLGBTをあまり雇用しておらず、差別や偏見に直面してしまうことで働くためにカミングアウトがしづらくなっています。
しかし、2019年にはタイの国会でLGBTの国会議員が4名誕生しているため、今後雇用が広がる可能性も十分に考えられます。
タイでは性別が変えられる?
タイでは性転換(性別適合)手術を受けられますが、法律的に性別の変更はできません。
LGBTの方々への施策として、2015年に「タンジェリン・コミュニティー・ヘルスセンター」がバンコクに開設されており、この施設ではアジア初のトランスジェンダー専用の医療機関として、女性ホルモンの投与やHIV検査などを受けることができます。
タイのジェンダーに関する法整備は進んでいる?
タイは「ジェンダーに寛容な国」でありながらも、LGBTに関する法整備は過渡期です。
特に、LGBTの方であれば、性別(セックス)が同じ方との婚姻や男女の機会の平等について、考えることも多いでしょう。
ここからは、タイのジェンダーに関する法整備について紹介します。
タイでの婚姻の自由・同性婚は?
タイでは2020年7月に「シビルパートナーシップ法」が国会審議入りしました。
この法制度では、2人とも17歳以上のカップルで、なおかつ片方がタイ国籍を持っていれば性別を問わずパートナーシップを申請できるというもの。
このパートナーシップでは、双方の財産管理権と相続権が夫婦同様に認められ、カップルに養子を迎え入れられるようになる予定でしたが、残念ながら実現には至りませんでした。
しかし、2023年12月には、同性婚を認めるための法律の審議が開始され、タイでも本格的な同性婚に向けた法整備が開始され、2024年3月に下院で可決されました。
これから上院の可決と王室の承認がありますが、この法案が成立すれば、タイは同性婚が認められ、タイのジェンダーにとって大きな一歩となるでしょう。
タイの男女平等法
タイの賃金に関する「労働者保護法」では「性別を問わず同一賃金であること」が明記されており、実際のところタイの賃金格差は2.8%という結果が出ています。
(参考:リスク選好の男女間比較:日本、タイでのサーチ実験を用いた分析/大阪大学社会経済研究所 ほか)
また、タイでは大学進学率も女性の方が高く、男女格差が少ない国といえます。
今後、同性婚が可決されれば、タイはジェンダーに対してもっと寛容な国になっていくと予想できるでしょう。
タイの徴兵制とジェンダー
徴兵制度のあるタイでは、タイ国籍を持つ男性は21歳になる年の4月に徴兵検査を受ける義務があります。
トランスジェンダーの方は、徴兵検査で性転換手術を受けたことを医師が検査で確認できれば、徴兵免除の申請が可能です。
しかし、そもそも戸籍上の性別が変更できれば、最初から徴兵検査会場に足を運ばずに済み、プライバシーに配慮できるとして、法的に性別変更を求める声が上がっています。
タイはジェンダーに寛容|まとめ
タイはLGBTの方を始め、自身のジェンダーをカミングアウトしやすい国といえます。
また、性転換(性別適合)手術も受けやすい環境が整っていることから、世界中からトランスジェンダーの方が集まる国としても有名です。
一方、年配の方の間では、LGBTの方に対する差別が残っているのも実情で、差別を受けた経験のあるLGBTの方は60%に及ぶと言われています。
しかし、タイではLGBTの国会議員が誕生したり、同性婚が可決に向けて審議されるなど、真のLGBTフレンドリーの実現に向けて法整備を進めています。
日本でご自身のジェンダーで苦しい思いをされている方も、タイでは生活しやすくなるかもしれません。
RENOSY Thailandでは、タイ移住に向けたご相談も承っております。
まずはお気軽にご相談ください。