タイで暮らすにあたっては、タイの税金に関する知識も必要になるでしょう。
そこで今回は、タイでかかる税金の種類や所得税の計算方法、確定申告の有無について紹介していきます。
目次
タイでかかる税金の種類
まずは、タイでかかる税金の種類について簡単に紹介します。
税金の種類 | 税率 | 備考 |
---|---|---|
法人所得税 | 原則20%だが、軽減措置あり | |
付加価値税(VAT) | 7% | 日本でいう消費税 |
特定事業税 | 3.30%・2.75% | 事業によって税率が異なる |
個人所得税 | 0%〜35% | 所得に応じて税率が異なる |
石油所得税 | 50% |
タイと日本は、二重課税の回避や脱税の防止を目的として、日タイ租税条約(二重課税防止条約)を締結しています。条約の対象となるのは、日本の所得税と法人税、タイの法人所得税、個人所得税、石油所得税です。
これらの税金については、条約に基づいてどちらの国が課税するかが明確にされており、二重課税排除の制度が設けられています。
タイの個人所得税の計算方法
暦年中(1月1日から12月31日までの1年間)に通算180日以上タイに滞在する場合は、外国人であっても居住者とみなされ、個人所得税の課税対象となります。タイの個人所得税は、日本と同様に累進課税方式が採用されています。
個人所得税の計算式は、以下の通りです。
所得税額=課税総所得×該当所得税率−所得税額控除
課税総所得とは、給与や賞与などの全ての収入に、各種課税手当や課税現物給与をプラスしたものです。タイの個人所得税率は、課税所得に応じて以下のようになります。
課税所得 | 税率 |
---|---|
0〜150,000バーツ | 税率免税 |
150,000超〜300,000バーツ | 5% |
300,000超〜500,000バーツ | 10% |
500,000超〜750,000バーツ | 15% |
750,000超〜1,000,000バーツ | 20% |
1,000,000超〜2,000,000バーツ | 25% |
2,000,000超〜5,000,000バーツ | 30% |
5,000,000超バーツ〜 | 35% |
所得控除額には、以下のような種類があります。
- 基礎控除:所得の50%相当額、ただし上限10万バーツ
- 納税者本人控除:60,000バーツ
- 配偶者控除:60,000バーツ
- 子供控除:30,000バーツ(1人)20歳未満または25歳以下で就学中の者が対象
- 両親扶養控除(所得制限あり):60,000バーツ(1人)
- 生命保険料控除:最高100,000バーツ
- プロビデントファンド控除:最大500,000バーツなど
タイの税金にも、日本と同じく配偶者控除や生命保険料控除などがあります。
タイの個人所得税は確定申告が必要!
個人所得税の課税年度は、暦年(1月1日〜12月31日)です。確定申告については、翌年の3月までに個人が行うことが定められています。
また、タイにも日本と同様に源泉徴収制度があります。企業で働く従業員は、法人から支給される源泉徴収票を参照して、毎年1回確定申告を行うことになります。タイの源泉徴収票は、日本のように年1回ではなく毎月支給されるので、大切に保管しておきましょう。
また、タイの確定申告で多いのが「日本払い給与について申告が漏れてしまった」というケースです。確定申告を行う際は、タイ払い給与に加えて日本払い給与についても計算して申告するようにしましょう。
申告漏れによる税金未納が発覚した場合、最大で未納分100%の可算税、無申告であった場合は最大で未納額200%の加算税が課されてしまい、月1.5%の延滞税の支払いも必要となります。罰則が厳しいので、未納が起きないよう注意しましょう。
タイの個人所得税の確定申告については、手続きを現地の会計事務所に依頼するという方法もあります。日本人駐在員が多いタイには、日本語対応してくれる会計事務所も多くあるので、個人所得税の確定申告で困った際には相談してみると良いでしょう。
最後に
今回は、タイで課税される税金の種類や、個人所得税の計算方法などを紹介しました。
暦年中(1月1日から12月31日までの1年間)に180日以上タイに滞在する場合には、タイでの確定申告及び個人所得税の納付が必要です。タイと日本は二重課税防止条約を締結しているため、タイで所得税を支払った分の所得については、日本で二重に税金がかかることはありません。
タイの個人所得税も日本と同じ累進課税方式が取られており、所得が高くなるほど税率も高くなる仕組みです。日本と同じく税額控除もあるので、対象のものがないか確認するようにしましょう。
タイでは確定申告が漏れてしまうと加算税や延滞税が請求される恐れがあります。特に日本払い給与についての申告が漏れてしまうケースが多いので、注意が必要です。
煩雑な確定申告の手続きに関しては、現地の会計事務所に依頼することも可能で、日本語対応してくれる事務所も多いので、必要に応じて検討するようにしましょう。